「言葉」そのものを選ぶのではなく「相手」を知ること

高校時代に「報われない努力もある」と言われたことがある。

今思えば事実だし、そこまでショックを受ける言葉でもない。

それでも当時は、頑張っていたことが全て否定された気がしてショックだった。

思いがけず言われた言葉に、傷付いたり、逆に励まされたりすることはあるだろう。

 

言葉選びは難しい。

かける言葉一つで相手のやる気を引き出すことも、心を折ることも出来る。

大切なのは、相手を知り、適切な言葉選びと言うタイミングを間違えないことだ。

 

 

私が「報われない努力もある」と言われたのは、大学受験を控えた高校3年生のとき。

朝早くから夜遅くまで、とにかく毎日勉強ばかりしていた時期だった。

事実、頑張っても頑張っても、成績が伸び悩んでいた時期でもあった。

一方で、「そんなに長い時間、集中力続かないから」とあまり勉強していない同級生がいた。

でもその子はいつも、成績上位者の1人だった。

見えないところで努力していたということはよくあるが、その子の場合は違った。

本当に短時間で、限られた時間しか勉強をしていなかったのである。

 

勉強はやればやるだけ結果につながるものではない。

絶対に外してはいけないポイントを、きちんとおさえているかどうかだけの問題だ。

どんなに沢山の時間を費やしても、焦点がずれた勉強をしていれば時間の無駄。

それが「報われない努力もある」という言葉につながったのだろう。

しかし、当時の私はそのことに気付くことが出来なかった。

あの時何と言われていたら、私はこの事実に気付くことが出来たのだろうか。

 

 

 もっと身近な場面でも考えてみる。

家族から「夕方になったら洗濯物入れといてね」と頼まれていたとする。

夕方になって、「そろそろ洗濯物入れなきゃなぁ」と思っていたら家族が戻ってくる。

「洗濯物入れといてって言ったじゃん!」と言われたとき、あなたはどう思うだろうか。

「今入れようと思ってたんだよ!」と言ってしまう人がほとんどではないか。

 

だからと言って、この場面ではどう言われれば素直に受け止められるかというのは難しい。

それでもやっぱり、言い方一つで受け止める側の気持ちは大きく変わるだろう。

 

 

「言葉」は不思議である。

目には見えないが、ぬくもりや冷たさを感じさせるし、毛布にも刃物にもなりうる。

言葉をどう変化させるかは、その言葉を発する人のさじ加減次第。

 

同じ言葉をかけても、受け取る側の受け止め方によって更に多様に調理される。

だからこそ、「言葉そのもの」よりも、言葉を伝える「相手の性格」を知る方が大切。

言葉選びに悩んだら、まずは相手のことを知ることが大切なのである。